2023年10月01日

五人坊主だより 2023年10月号

残暑の厳しい9月でした、最後へきてようやく秋らしい空気になってきました。相変わらず少雨傾向で、秋作の準備は苦戦続きでしたが、作業のタイミングややり方を工夫しながら植付、種まきを最低限はやれたように思います。

暑さ、乾燥もさることながら、今年は鹿の害がひどいです、植えたばかりの苗を食べられたり、マルチフィルムを踏み荒らされたりと、これまでより被害が多くなっています。乾燥ぎみであることも影響しているのかもしれません。やむを得ず電気牧柵を張ることで対応しています。予定の収穫量が少なくなる一方で予定外の労力やコストがかかってしまい、いいことはないです。鹿も生きるのに一生懸命なのでしょうかが、やられっぱなしではこちらも継続して野菜を作っていけないので対応していくしかないです。

今月より野菜の販売価格を8%値上げいたします。昨年に引き続きの値上げで大変申し訳ありません。価格にふさわしい内容(品質、安定出荷)となるよう今後も努めて参ります。引き続きよろしくお願いいたします。

 

<野菜の成育状況>

気温が高めに推移していることもあり、なす、キュウリなどの夏野菜はまだ採れています。キャベツ、ブロッコリーなどの露地野菜、そろそろ採れてくる予定でしたが、高温少雨による苗焼け、鹿の食害、虫の害の影響でほとんど収穫できていません。中旬まではそのような感じになってしまいます。

長ネギ、大根は採れ始めました、今月は出していきます。ビーツは虫食いがひどく、良品を出荷できるのはしばらく先になってしまいます。サツマイモも収穫が始まりました。今年はよくできていそうです。気温が下がってくると美味しいかぼちゃとあわせてぜひご注文下さい。

ベビーリーフ 気温が下がってきたので成育は良くなってきています。当面十分出荷できそうです
小松菜
ミニチンゲン菜
成育は良くなってきました。まだ収穫量が安定しませんが、徐々に増えてくる予定です。
水菜、赤茎水菜
赤からし水菜
成育は回復してきました。当面はしっかり出荷していけると思います。
ほうれん草 成育がやや遅れており、出せたり出せなかったりという状況です。後半からはコンスタントに出荷できる予定です。
ルッコラ
ワサビ菜
成育は良くなってきています。当面は出荷していける予定です。
ラディッシュ 成育は良くなってきています。やや不足することもあるかもしれません。
リーフレタス まだ安定して採れていません。中旬以降は増えてくると思います。
キャベツ みさきキャベツ、中旬よりあるていど採れてくると思います。中旬より芽キャベツもある程度収穫予定です。
ブロッコリー 良品はまだ採れません。中旬以降収穫予定です。茎ブロッコリーも中旬から収穫予定です。
カリフラワー カリフローレ、カリフラワー(白、オレンジ)は中旬以降から良品が採れてくる予定です。
かぼちゃ 生食用のコリンキー、普通のカボチャ、ラグビーボール型のロロン、坊ちゃんカボチャ、バターナッツがあります。たくさんあります。
オクラ 虫食いや曲がり果が多くなってきました。収穫量は少なくなってきましたがまだ採れています。
パプリカ 収穫量は少ないですが今月は出荷していく予定です。
きゅうり 今月中旬までは頑張ります。後半はほとんど採れないと思います。
トマト 収穫量は少ないです。後半の方が採れそうです。
ミニトマト 収穫量は少ないながら採れています。
なす 風によるすれや虫食いのものが多くなっています。少ないながら今月いっぱいは出荷予定です。
ピーマン 病気(葉カビ、灰かび)などが出ており、収穫量は少なくなってきました。
甘長とうがらし 収穫量が落ちてきましたが、今月いっぱいは収穫予定です。
ズッキーニ 少雨の影響などあり収穫量は少ないです。中旬までは収穫していきます。
長ネギ 夏の高温、少雨の影響で葉は白くなっています。草の管理を頑張ったので、成育自体は悪くないです。長ネギのほか、なべちゃんねぎ、下仁田ねぎがあります。
さつまいも シルクスイート、パープルスイートがあります。徐々に味がのってくると思います。
かぶ 9月中旬より収穫予定でしたが高温のため状態がわるく出荷できないでいます。そろそろ良いものが採れてくる予定です。
人参 ミニ人参が採れ始めました。普通の人参は中旬以降の予定です。
ビーツ 赤のみの出荷です。秋作は10月中旬以降の予定です。
大根 普通の大根、色大根(紅、紫、青、黒)がとれてきました。
玉ねぎ 赤玉ねぎは終了です。普通のものはだいぶはけて少なくなりました。
にんにく まだまだあります。ぜひご注文ください。
ジャガイモ 小袋での出荷は年内は行っていきます。
パセリ 9月も予想以上に暑く今一つでしたがようやく回復してきました。
伊那谷味噌 村内の方から手作り味噌を仕入れて販売しています。

前回のお便りに「less is more」のことを書きました、その流れでよくあるたとえ話の一つにこういうのがあります

コスタリカの漁村で、ちょっと漁をしては友人や家族とのんびり暮らしている漁師のところへ、アメリカのエリートビジネスマンがやってきて言う。「短時間でこんなに良い魚がとれるんであれば、投資をして船をそろえ、たくさんとって、加工までやればいい。会社にして人をやとって、会社を大きくして、やがて株を売って大金持ちになって悠々自適にくらせばいいじゃないか」と。実際のところ、その漁師は現状のままでも十分悠々自適にくらしていたので、アメリカ人の話は全然意味ないという話。(参照『千年の読書』三砂慶明著)

自分の場合、循環型農業(堆肥など肥料の自給、多品目の有機栽培)、生産―販売の一体化、持続可能な経営(分業、多角化)という経営方式を行う上での合理性を考えて農園を会社化するという判断をし、これまでやってきた。設備などに投資をし、人を雇って経営するとなると、悠々自適、とは程遠いのが現実。働き方改革、賃金上昇などによって雇用者が保護されるのは良い流れである一方で、年々厳しくなる自然環境、人手不足や物価高などの経営環境の変化で疲弊していっている経営体も多いはず。農に関わる経営体が持続可能であるためには今後何が必要なのか。

経済学者までもが上記のようなたとえ話を引用している時代、いわゆる資本主義型のやり方の限界を世界の多くの人が意識的、無意識的に感じ、経済的合理性とは違った価値基準が今後多様に出てくるんだろうと思うなかで、農園として、私として、何に価値を置き、現行の法制度のなかでいかに理想の農園を実現していくのか。開園して20年になる来年は、そのあたりを明確にしてビジョン、やり方をアップグレードする必要があるのかなと。


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