2020年11月01日

五人坊主だより 2020年11月号

今年は気温が下がってくるのが平年並みで、このあたりでも霜が降りるようになってきました。農園から見える中央アルプスや南アルプスは雪で上のほうが白くなることがあります。そろそろ冬の準備を、という季節です。

7月の長雨で畑の準備が遅れ、その後の8-9月の高温・少雨もあって、秋冬野菜は苦戦しています。今月からはいくらか回復してくると思います。なんとか年を越せるくらいは収穫できるように、少しでもできることをやっていくのみです。

10月上旬には秋、冬作の植付が一段落し、採り入れが本格化する11月までのあいだ少し作業に余裕のある期間があります。時間に余裕ができたらあれをやろう、これをやろうと、やりたいことは盛沢山でした。しかし、いざその時期になってみるとこの期間にやりたかったことの半分もできないままに過ぎて行ってしまう・・・れいんそんな感じです。

 

<今出荷している野菜の様子>

遅れ気味であった大根、人参、白菜などがようやく採れてきました。サツマイモ、里芋も収穫しています。ネギも採れてきだして、秋冬野菜が出そろってきた感じです。今年はカボチャが不作で、冬至用にとっておくことはできなさそうです。

葉物野菜は夏以降不足傾向でご迷惑をおかけしております。11月はいくらか収穫量が増えそうなので、欠品を減らせるように思います。

ベビーリーフ 採れています。当面は大丈夫そうです
小松菜
ミニチンゲン菜
成育は良くなってきています。収穫量は増えてくる予定。
水菜、赤茎水菜
赤からし水菜
ずっと不足しております。今月に入り収穫量はいくらか増えてきそうです。
ほうれん草
赤軸ほうれん草
ハウスのほうれん草は良く育っています。露地のものは思ったほど収穫できそうにないですー
ルッコラ
ワサビ菜
よく育っています。今月はしっかり出していけると思います。
ラディッシュ 成育は順調です。当面はしっかり出荷できそうです。
リーフレタス ハンサムレタス、パリレタス、サニーレタス、涼しくなって成育はよくなっています。
レタス 玉レタスは虫食いなどあって減収。ロメインレタスは少しずつ採れています。
キャベツ みさきキャベツが採れています。虫食いあり。今月は収穫量は少ないです。
ブロッコリー 小ぶりです。収穫量は少ないです。
カリフラワー 収穫量は予定より少な目です。白、オレンジ、紫、ロマネスコがあります。
カリフローレ 採れたり採れなかったり、という感じです。今月はいくらか収穫量が増えそうです。
長ネギ 10月になって成育が良くなってきました。長ネギ、松本一本、下仁田、なべちゃんいずれも出荷していきます。西洋ネギはもう少し先です。
大根 10月は状態が良くなかったですが、ここへきてきれいなものが採れるようになってきました。紅大根、青長大根、紫大根、黒大根、紅芯大根も採れてきています。
かぶ 露地のかぶが採れてきました。年内はしっかり出荷していけると思います。普通のかぶ、あやめかぶがあります。紅かぶ、イエローターニップ、日野菜かぶはもう少しさきです。
キュウリ 細々と取れています。凍って枯れてしまうまで、頑張ってもらいます。
人参 ようやく採れてきました。昨年に比べて収穫量は少なくなってしまいそうです。色人参(黄、紫、白、金時)もあります。ミニ人参も年内は出荷していきます。
プチベール 今年は虫(ヨトウムシ)に大苦戦しました。ここへきて状態は良くなってきています。
茎ブロッコリー 少しずつ採れてきています。春先まで出荷していきます。
カーボロネロ 今月中旬以降に収穫していく予定です。
芽キャベツ 今年はヨトウムシとアブラムシに大苦戦です。ここへきて回復してきているので、今月後半からは出荷していけると思います。
オータムポエム 今年はハウスにも植えています。年内出荷していける予定です。
カボチャ 秋どりのものは不作でした。冬至まではなさそうです。
玉ねぎ まだあります。収穫量は少なかったので、年内でほぼなくなりそうです。
ジャガイモ 少なくなりました。十勝こがねがまだあります。
サツマイモ シルクスイートとシャドウクイーンの2種類。夏場の乾燥で一時はしおれていましたが、最低限は収穫できました。
里芋 こちらも夏場の感想を乗り切ってなんとか収穫にこぎつけました。収穫量は予定より少な目です。
ニンニク やや小ぶりですが年内は十分出荷していけると思います。
ビーツ 赤、黄、縞の3種があります。秋作のものがもう少しで採れ始めます。
伊那谷味噌 村内の方から手作り味噌を仕入れて販売しています。

 

リベラルアーツ

最近読んだ気鋭の学者、研究者の著のなかで複数の方々が“リベラルアーツ”の重要性を説いていた。“リベラルアーツ”は、基礎教養、大学だと専門的なことを学ぶ前の教養課程のような意味でつかわれる。学生のころ、1年生対象の教養課程の授業やゼミに4年間出ていた、別に単位が足りなかったわけでなく、好きな教官の授業やゼミに勝手に参加していた。あれから20年くらいたっているが、いまだに自分は教養課程にとどまっているといえるような・・・

リベラルアーツ的な書としては、最近では、ベストセラーとなった『ファクトフルネス』。著者は様々なデータから、世界の“今”を明らかにしている。そして、確信をもって「現在の世界は歴史上もっともよい状態にある」と言い切っている(コロナ禍の前の著であるからそこは差し引く必要があるとして)。そして、特に欧米の学歴があったり社会的に 地位があったりする人ほど認識が誤っている傾向にあると指摘している。また、どうしてそういう認識のずれが生じるのか、どうすれば正しい認識に近づけるのか、といったことを説いている。私自身、現在の世界の認識について、だいぶずれていたな、と感じることしきりであった。そして、漠然とではあるけれど世の中に対してすこし肯定的な気分になることができた・・・

私が教養課程において学んだことで、“客観化を客観化する”ということがある。アンケート、データ、映像をもって、“これが現実だ、これが事実だ”という論法はよく使われる。が、アンケートの取り方、データの選択、映像の切り取り方で与える印象はまるっきり違ってくる。客観化されたものをさらに客観化する、その客観化の客観化も客観化する・・・そうすると、“ファクト”って何なんだ、結構恣意的なものが“ファクト”になってやしないか、ということになる(『ファクトフルネス』の著者はそういう高次の客観化にたいして非常に意識的であるように感じた)。

ファクトベースで(事実に基づいて)物事を判断することの大切さと、その“ファクト”が本当のところどうなのかと常に疑うこと、そして最終的にはそこに自らの判断(価値・基準)が必要だということになってくる・・・


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