2022年03月31日

五人坊主だより 2022年4月号

3月は暖かい日が多かったように思います。開花はまだですが、桜のつぼみも膨らんできて、樹がわずかに紅色に色づいてきています。遅れ気味だった露地の畑の作業、少しずつ追いついてきました。

私がこの地で農園を始めて4月で18年目になります。なかなか思い通りにはいかなかったといえますが、農園で研修をして独立就農したものは5名になり、私たち自身もどうにか農園を続けてこられたのも、お客さん、スタッフ、周囲の方々の支えがあってのことだと改めて感謝・感謝です。世界情勢的には相変わらず不確定な要因が多く、この先どうなることやら、という感じの新年度スタートとなっています。農園も不確定な要因が多くあるものの、天候不順や人手不足などを見据えてここ数年取り組んできたことが少しずつ成果を出し始めているように感じます。さらにもう一歩進めるよう気持ちも新たに今シーズンもやっていきます。

<野菜の成育状況>

3月になり一気に暖かくなったので、ハウスの葉物野菜は成育が進んでいます。一部のものを除いてしっかり採れています。春の代表的な野菜、菜花も最盛期を迎えようとしています。また、昨年ハウスに植え付けたアスパラも出てきました。今年はそれほど収穫量は多くないですが、この時期に自前のアスパラを収穫できるのはうれしいです。来年はもっと増やせるようにしたいです。

露地野菜は準備・成育が遅れているので、採れ始めるのはゴールデンウイーク過ぎになってしまいそうです。それまでは春野菜に頑張ってもらいます。

ベビーリーフ 当面は安定して採れると思います
小松菜
ミニチンゲン菜
いずれも採れてきています。当面はしっかり出荷していける予定です。
水菜、赤茎水菜
赤からし水菜
赤茎水菜は成育が今一つで、当面少な目です。他の2種類はたくさんあります。
ほうれん草
赤軸ほうれん草
ほうれん草はやや不足気味。一方赤軸はたくさんあります。まとめての注文歓迎します。
ルッコラ
ワサビ菜
成育順調です。たくさんご注文下さい。
ラディッシュ とれるようになってきました。当面しっかり出荷できそうです。
リーフレタス 成育は良くなってきました。当面不足なく出荷していけると思います。
キャベツ ハウスのみさきキャベツ、トウ立ちが始まっているので小さめで出荷しています。量は少ないです。
菜花 白菜なばな、野沢なばな、オータムポエムが採れています。今が旬ですので是非ご注文下さい。
茎ブロッコリー 昨年11月から採ってきましたが力尽きてきました。次は5月からの予定です
春菊 収穫量少な目です。不足があるかもしれません。
アスパラ ハウスのものが採れ始めました。今年は収穫量はまだまだ多くないですが、できるだけ多くの方にお届けできるよう出荷していきします。
アレッタ カーボロネロと茎ブロッコリーの間のような野菜です。量は少ないですが10日ころまで収穫していきます。
プチベール 中旬になると花が咲いてしまうので、それまでに出していきます。
エンドウ きぬさやが今月10日ころから、スナップエンドウは15日過ぎから採れてくる予定です。欠株がおおく収穫量は少な目になりそうです。
人参 普通の人参、黄、紫、白、金時などがあります。在庫はまだあるので今月は出していけると思います。
かぶ 普通のもの、あやめかぶが採れています。ハウス内に畑ネズミが住み着いてしまい食害が出ています
大根 普通の大根、紫大根は在庫が少なくなってきました。在庫がなくなり次第一時終了します。
サツマイモ 終了しました、後半は傷みが出てしまったので、貯蔵方法など改善が必要に感じます。
里芋 上旬で終了です。こちらも厳寒期の貯蔵方法の工夫が必要に思います。
玉ねぎ 新玉ねぎは5月中旬くらいから採っていく予定です。にんにくは6月からの予定。
ジャガイモ ほぼ終了しました。今期分は6月後半から採れてくる予定です。
長ネギ 松本一本ネギと下仁田が残っています。上旬はしっかり出荷していきます。
ビーツ 縞ビーツのみになりました。
イタリアンパセリ ハウスの隅に植えてあったものが採れています。
伊那谷味噌 村内の方から手作り味噌を仕入れて販売しています。

有機栽培のこれから?

これまで有機栽培と名乗るには認証団体の厳格な許可が必要であったのが、任意の生産者グループ内における相互の確認程度でも名乗れるような仕組みが検討されてきています。こういったことが認められるようになれば、なんでもありとはいきませんが、慣行栽培に有機栽培のテイストを加えた程度の”有機栽培”から、原理主義的な“有機栽培”まで、かなりの幅がでてきてぐちゃぐちゃになっていくであろうと思います。ただ、全体としては、農作物の安全性は当然の前提となり、SDGsにかなった栽培方法でなければ農業経営も持続できないという方向へ行くであろうと考えられます。

日本における”有機栽培”の第一世代は、一方で環境汚染の社会問題化(有吉佐和子の『複合汚染』やレイチェルカーソンの『沈黙の春』)があり、一方で思想としての自然栽培(福岡正信)や循環農法・産直運動(金子美登やまぎし会など)の動きがあり、そのような状況の中で、社会運動、思想としての意味合いの強い”有機栽培”を開拓されてきました。私はそういった第一世代に直接学んで始めた第2世代に当たります。第3世代になると、思想、社会運動としての”有機栽培”という面はあまりなくなってきて、純粋に栽培方法の一つとしての意味合いになってきているように感じます。

思想や運動の理想は、それが当たり前になってもはや思想や運動としての意味がなくなることだと思うので、50年前からすれば大いに進んできたんだろうと思います。10年後、20年後から考えれば、今のような”有機栽培”というくくりはあまり意味がなくなってくるだろうと考えます。有機栽培的な考え方、方法(有機物を施し土をよくする、適正施肥をして病害虫に強い作物をつくる、環境へ配慮する)はより一般的になり、有機栽培に限らず一般的な栽培においてもベースの一つとなっていくであろうと考えられるからです。農薬や化学肥料を多量に使うような農法は、SDGsの観点からも認められなくなっていくであろうといえます。

難しいというか、面白いというか、”栽培方法の一つ”と割り切って有機栽培をやっていることろに比べて、思想や運動が残滓しているような経営体の方が経営的には苦労しているという印象を受けます。私たちの農園もそういった日本全体における傾向の縮図のようなところがあって、難しさとやりがいを感じているところです。


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