2021年02月28日

五人坊主だより 2021年3月号

後述しますが、2月は、園長の私は半分以上不在していました。仕事はほぼスタッフに任せておりました。開園以来3日以上畑を開けることはなかったので不安がなかったわけではないものの、留守の間もスタッフが頑張ってやっていたおかげで仕事は滞りなく進んでおります。

最近では最高気温が20℃近くなる日もあり、春の気配をあちこちに感じるようになってきました。何年たっても、いよいよ今シーズンが始まるというわくわく感と、今シーズンも無事乗り切れるだろうかという不安とがないまぜになった感覚がこの時期にやってきます。苦しい時期をともに乗り越え成長したスタッフと共に、今シーズンも前へ進んでいきます。

<栽培方法の変更について>

今シーズンより、露地栽培の葉菜(キャベツ、ブロッコリー、カリフラワーなど)に有機栽培で認められている農薬(生物由来の成分で作られたBT剤というもの)を使用することにします。

これまでは、防虫ネットを張って害虫予防をしてきましたが、防虫ネットを張ったにしても害虫はつきます。また、防虫ネットを張ると畝の中の草取りが困難になるので、基本的に畝にはマルチフィルムを張ってきました。防虫ネットもマルチフィルムもビニールでできています。マルチフィルムは基本的に1回しか使用できませんし、防虫ネットも定期的に交換が必要です。栽培面積が増えることで、使うビニールの量も増えてきました。農業用ビニールはリサイクルされるということですが、その多くは海外で処理されていました。それが、近年では海外で受け入れてもらえず、かといって国内で処理しきれないということで、深刻な問題となっています。国もカーボンニュートラルの2050年実現を宣言しています。農園からでるビニールの量を減らさないといけない、切実にそう感じていました。

農薬を使うということに対して、抵抗のある方もおられるかと思います。私たちが使用する農薬および使用法については、次に示す通りとします。

・有機JASで使用が認められているものに限る

・有機JASで定められている範囲内での使用とする

このことを厳守することとします。有機栽培で認められている農薬は、一般の農薬に比べて効果は劣ります。野菜を健全に育てることで、病害虫に対して抵抗力があるようにしていくことがこれまで以上に重要になってきます。農薬を使用するといってもあくまで補助的に最低限使用するということで、栽培に対する基本姿勢はこれまでとなんら変わりません。

栽培方法を変更するにあたって、お客さんのご理解をいただくことが不可欠であると思います。ご不明のことなどありましたら遠慮なくご連絡ください。よろしくお願いいたします。

<今出荷している野菜の様子>

ハウスの葉物野菜が中心です。昨年根菜の出来が今一つであったため、貯蔵していた根菜類は在庫が乏しくなってきました。畑で越冬した人参をこれから掘っていきますが、ややバリエーションにかける内容になってしまいます。ご了承ください。

ベビーリーフ 採れています。当面頑張ってくれると思います。
小松菜
ミニチンゲン菜
成育にムラがありやや不足気味であります。今月からは成育が早くなってくるのでしっかり採れると思います。
水菜、赤茎水菜
赤からし水菜
気温が上がってきたのでトウ立ち(花芽ができてしまうこと)が早くなっています。採り遅れないように収穫していきます。
ほうれん草
赤軸ほうれん草
よく採れています。たくさんご注文下さい。ここへきて縮みほうれん草もよく採れています。
ルッコラ
ワサビ菜
注文が多くやや不足気味です。成育が早くなってきているので今月途中からはしっかり出荷できると思います。
ラディッシュ 成育が早くなってきました。たくさんご注文下さい。
リーフレタス ハンサムレタス、パリレタス、サニーレタス、やや不足気味でしたが、徐々に増えてくる予定です。
キャベツ ハウスのみさきキャベツは今月中旬以降に収穫予定です。
長ネギ 長ネギ、松本一本、下仁田、なべちゃん、西洋ネギ(リーキ)があります。気温が高いので、今月中旬からはネギ坊主が出てきそうです。
大根 普通のもの、紅大根、青長大根、紫大根、黒大根、紅芯大根があります。種類によっては在庫が少ないものがあります。
かぶ ハウスのかぶ、あやめかぶが採れています。その他のカブは終了しました。
人参 畑に残っていた人参を収穫していきます。やや小ぶりです。紫人参、金時ニンジンがいくらか在庫があります。
プチベール 花芽ができてきたので今月上旬で終了する予定です。
茎ブロッコリー 量は少ないですが今月も収穫していきます。増えてくるのは来月後半からの予定。
カーボロネロ 量は多くないですが採れています。
芽キャベツ 残り少なくなってきました。今年はアブラムシに苦戦しました。
オータムポエム ハウスものを出荷しています。5月まで収穫していく予定です。
玉ねぎ ほぼ終了です。新玉ねぎは5月末から収穫予定です。
ジャガイモ 十勝黄金が少し残っているのみです。新じゃがは7月中旬から収穫予定。
里芋 やや小さめが多いです。
ニンニク 終了です、今年のものは6月から収穫予定です
ビーツ 赤、黄、縞の3種があります。貯蔵物を出荷していきます。
伊那谷味噌 村内の方から手作り味噌を仕入れて販売しています。

 

今月、園主の私は腰の手術・療養のために2週間ちょっと入院していました。腰痛歴は10年以上になります。ストレッチ、筋トレなどでなんとか持ちこたえようと頑張ってきましたが、2年ほど前からストレッチや筋トレさえ痛くて十分できなくなり、寝返りをうつのも苦痛だし、仕事も思うようにできないということで、とうとう外科的処置を受けることにしました。

病名はすべり症による脊柱管狭窄症、ということです。腰椎がずれて、椎間板が飛び出して(ヘルニア)、脊椎の間がつぶれてしまっているような状態でした。手術は、そのズレを矯正し、狭くなった脊椎の間を広げ、そこに自分の骨を移植することで脊椎と脊椎の間に骨を再生させるというものです。なかなか大がかりなものです。退院はしましたが、骨が再生するまで3か月間はおとなしくしていないといけません。まだまだスタッフ頼みの日が続きます。

信頼できるお医者さんに施術してもらう、看護師やヘルパーの方々が日々親身に世話をしてくれる、やむを得ずそこへ至ったとはいえ、そういう治療を受けられたのは心からありがたいことだと思います、健康保険の制度も含めて。自身の治療体験を人に言うようなことはどこかはばかられるように感じたこともありました。今はこうして自身のことについて他の人にも知ってもらったほうがよいと感じています。私の好きな批評家が「胎児ー乳幼児期と老後の課題が解決されれば、歴史(人間にとっての課題)の大きな部分は解決されたといえる」といったことをいわれています。だれもが安心して医療をうけられる、ということはSDGs(持続可能な開発目標)においても重要な要素だといえます。

昨年は天候不順等もあり、野菜の品質が安定せずお客さんにご迷惑をおかけするようなことが多々あったように思います。天候の影響はある程度避けられないとはいえ、栽培方法には改善の余地がまだまだあります。省力化できるところは省力化し、手をかけるべきところにより手をかけられるようにしないといけない、また、これまで体力勝負でやってきたところを、体への負担の少ないやり方に改善してしていかないといけない、と考えています。

2週間余り仕事から離れ、腰の治療という以外でも心身ともにデトックスできたところもあるな、と感じます。まずはしっかりと回復し、農園が次のステージへと進んでいけるように努めていこうと思います。

 

 

 

 

 

 


Page Top