2021年01月01日

五人坊主だより 2021年1月号

何とか年を越すことができました。昨年は天候やら疫病(新型コロナウイルス)など想定外の事態が多く大変苦戦しました。そんな中でも、栽培や販売において常に調整を行うことで、何とかしのいできたように思います。大島農園はきわめて小規模の農園とはいえ、従業員はパートの方を含めると10名を超えます。一か月でも売り上げが平常時の50%以下になるようなことがあれば一気に経営が困難になります。難しいい状況のなかでもなんとかやれたのは、お客さんとスタッフの支えがあってのことであったと、改めて感謝をした次第です。

地元大先輩の篤農家の方が、「毎年1年生だ」と言われていました。年によって天候も違うし土や作物の様子も毎年違う。そんな中で毎年同じようによいものを作り続けていくことの難しさを言い表しているのだと思います。当然年数を得ることで蓄積されるものもあるのですが、1年1年、天候を見ながら、作物を見ながら、その時々で対処していかないといけない、前と全く同じようにやればいい、ということはない。それが作物を育てる難しさでありやりがいであると思います。

<今出荷している野菜の様子>

大根、ニンジンなど、予定していたより減収となりました。在庫は例年より少なめではありますが、当面は出荷していきます。

葉物はこの時期としては良く育っているように思います。これからが冬本番ですが、できる対策をやって葉物はしっかりと出荷していきたいです。

ベビーリーフ この時期にしては採れています。これから最も寒さの厳しい時期になりますので、減収になるかもしれません。
小松菜
ミニチンゲン菜
いずれもこの時期にしては頑張っています。1月中旬から2月中旬にかけては成育が遅くなるので、少なくなるかもしれません。
水菜、赤茎水菜
赤からし水菜
いまのところよく採れています。寒さで傷まないよう防寒対策をしています。
ほうれん草
赤軸ほうれん草
ほうれん草、縮みほうれん草は味が良いです。赤軸はやや不足気味。
ルッコラ
ワサビ菜
成育は遅くなりましたがまだ採れています。
ラディッシュ よく採れています。1月中は大丈夫そうです。
リーフレタス ハンサムレタス、パリレタス、サニーレタス、12月よりは採れなくなりそうです。できるだけ欠品しないように頑張ります。
キャベツ ハウスのみさきキャベツが少量ながら採れています。
長ネギ 長ネギ、松本一本、下仁田、なべちゃんがあります。松本一本は太いものはほぼ終了です。西洋ネギ(リーキ)も出荷しています。
大根 普通のもの、紅大根、青長大根、紫大根、黒大根、紅芯大根があります。種類によっては在庫が少ないものがあります。
かぶ 普通のかぶ、あやめかぶ、紅かぶ、イエローターニップ、日野菜かぶがあります。今月は出荷していけそうです。
人参 昨年に比べると量は少ないですが出荷しています。大きくなり切らなかったものは畑で年越しとなりました。不織布をかけて凍らないようにしてあります。
プチベール 収量が思うように増えませんが少しずつ出荷していきます。
茎ブロッコリー 1-2月は収量少ないです。春先まで出荷していく予定です。
カーボロネロ 量は多くないですが採れています。ミネストローネにどうぞ。
芽キャベツ こちらもアブラムシの害などあって収穫量が増えません。少量ずつの出荷になってしまいます。
オータムポエム 今年はハウスにも植えています。収穫量は少ないですがもう少し頑張れそうです。
玉ねぎ ほぼ終了です。新玉ねぎは5月末から収穫予定です。
ジャガイモ 十勝黄金とシャドウクイーンが少し残っているのみです。新じゃがは7月中旬から収穫予定。
サツマイモ シルクスイートとシャドウクイーンの2種類。1月まで出していきます。
里芋 1-2月に出荷していきます。やや小さめのものが多いです。
ニンニク 良品はなくなりました。ばらしたもの、小玉のみです。
ビーツ 赤、黄、縞の3種があります。貯蔵物を出荷していきます。
伊那谷味噌 村内の方から手作り味噌を仕入れて販売しています。

昨年の11月ころでしょうか、政府への政策提言をされている竹中平蔵さんが、日本でもベーシックインカムの導入を検討していくべきではないか、ということを言われたとニュースになっていました。

“ベーシックインカム”という言葉、制度を私が知ったのは10数年前、当時の中川村村長(主に革新系が支持基盤の方)が、村としてベーシックインカムの導入を検討していきたい、という趣旨で、ベーシックインカムについて研究している大学の先生を招聘して村で勉強会が行われたのがきっかけでした。当時“ベーシックインカム”なる言葉・制度を知っている人は私を含め地元ではほとんどおらず、“最低限の生活を送れるだけの現金給付を住民全員に対して行政が行う”というベーシックインカム制度の内容に対して、ふだん革新系の主張をされている方からも「新しい宗教か?」と揶揄されるような状態でした。

竹中さんがそういう趣旨のことを言われたのは、ご自身の思想から、というよりも、欧米でそういった動きが出ているからだと思いますが、ふだん自由主義的な発言をされている方から“ベーシックインカムの導入”ということが言われているのに驚くとともに、そういうご時世になったんだな、と思いました。

昨年読んだハンス・ロスリングさんの『ファクトフルネス』という本で、教育、貧困、衛生、治安といった多くの点から、世界全体は、紆余曲折あれ大枠で言えば確実に良くなっている、そして、それは先進国の多くの人たちが思っているよりその進捗度は大きい、ということを知りました。“ベーシックインカム”ということが欧米や日本で議論されること自体が、ある歴史的な進捗を表していると感じます。

ベーシックインカムが実際導入されるかどうか、されるとしてもどれくらい先のことか、というのは全くわかりませんが、最近言われるSDGsで言えば、ベーシックインカムの導入は“あらゆる人々において貧困をなくす”という目標の達成、ゴールともいえます。 “ベーシックインカム”やSDGsの達成のような議論は、いわゆる保守対革新のような政治的対立が無意味化される次元の課題設定であると思います。「かなしいくらいに無能な大統領がいる国でも進歩している」(ハンス・ロスリング)という次元で世界全体は良くなっていくことは確かだと思います、そしてその大きな流れの中で自分たちの農園、生活もよくなっていけばいいなと、大きな話から小さな希望へ、しりすぼみの話でした・・・


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