2025年05月01日

五人坊主だより 2025年5月号

農作業の繁忙期を告げる雪形「五人坊主」(このあたりから中央アルプスに見える雪形の名称)も大きくなってきました。夏野菜の植付はこれからが本番です。露地野菜は早いものは収穫が始まります。草も一気に大きくなってきました。いろいろと気が急いてしまいますが、優先順位をつけて焦らずひとつひとつやっていきます。

今年になってから車両や機械類の故障が相次ぎ、予定通りに作業が進まないことがしばしばありました。元手がないなかで新しい栽培方法を試したり作業を合理化したりしなければならなかったので、機械類はほぼ中古でそろえてきました。30年を超えるような車両や機械も多いです。「新しいの買って!」といいながらも面倒な修理をやってくれる農機具屋さんに助けられつつも、自分である程度の修理・整備はできるようになってきました。物価高の中で、機械類も以前より高くなっています、古い機械をリペアすることは、面倒といえば面倒ですが、それが自分の技能向上になり、楽しく取り組めればそれに越したことはないなと。機械に限らず、設備や道具など、あるものをより長く使う、修繕して使っていく、というのがいいように思います。

 

<野菜の成育状況>

ハウスのキャベツ、ブロッコリーが採れ始めます。トンネルを作って植えてある露地のキャベツ、ブロッコリーももう少しという感じです。ようやく端境期を抜けて、春の野菜が採れてきます。昨年から栽培している「茜わらべ大根 」、外側がピンク色で中は白色の大根です。端境期に栽培出来て、味もよく気に入っています。薄切りにしてサラダに入れて良し、おろせば桜色の大根おろしになって見た目にも良いです。来月まで出荷予定ですので是非ご注文下さい。

ベビーリーフ たくさん採れています。当面しっかりあります。
小松菜
ミニチンゲン菜
採れています。この先も当面しっかり採れそうです。
水菜、赤茎水菜
赤からし水菜
採れています。当面はしっかり出荷できそうです。
ほうれん草 普通のもの、赤軸法蓮草ともによく採れています。
ルッコラ
ワサビ菜
ルッコラは採れています。わさび菜は成育が今一つで当面不足気味です。
ラディッシュ 成育は安定しています。白、赤ともに当面はしっかり採れそうです。
リーフレタス 気温上昇とともによく採れるようになってきました。たくさんご注文下さい。
レタス、ロメイン 結球レタス、ロメインレタスは連休明けころより収穫予定です。
アスパラ 採れています。今後は少なくなっています。
ブロッコリー ハウスのものが採れ始めました。小さめです。露地のものは連休明けから採れてくる予定です。
茎ブロッコリー ハウスのものが採れています。量は多くないです。
野沢菜なばな 野沢なばなとちりめん冬な菜花ともに上旬で終了予定です。
長ネギ 今期分は終了しました。今期分を今月から植えていきます。
キャベツ ハウスのみさきキャベツが採れてきます。露地物も続けて採れてくる予定です。
カリフラワー、カリフローレ カリフローレが採れ始めています。量が増えてくるのは連休明けくらいから。カリフラワー類は中旬からの予定です。
かぶ かぶ、あやめかぶ、上旬は少ないですが露地物が採れてくる10日くらい以降は当面出荷していく予定です。
人参 普通の人参はあります。他のものはほぼ終了です。
大根 普通の大根、外皮がピンク色の茜わらべ大根が採れています。中まで赤い紅大根も上旬から採れてきます。
ビーツ 残りわずかです。今期分は6月中旬以降から収穫予定です。
玉ねぎ 早生品種が上旬から採れてくる予定です。
ニンニク 6月から収穫予定
ジャガイモ 芽が出てきました。男爵、きたあかりは6月後半から掘っていきます
ハーブ類 タイム、ローズマリーが少しあります。パセリ、イタリアンパセリは今月後半からの予定です。
トマトピューレ 280g入りで販売しています

complex & abnormal

これまで有料の広告を出すことはほぼやってきませんでした。開園当初に、東京の新聞に一番安い数行1万円程度の野菜セットの広告を掲載したことがありますが、それ以外はこれまで宣伝にお金をかけることはしないで済んできました。ありがたいことにお客さんがお客さんを紹介してくださることが多くありました。

今度有料の広告を掲載することにしました、娘の高校の文化祭の冊子に。「文化祭の運営費が足りない」と言っていたので、それなら是非と。高校生向けに野菜の宣伝をしたところで、注文してくれることはほぼないでしょう。一つには農園でやっているカフェ「シャインハウス」の宣伝で、一つには、将来「農(もしくは農的な何か)」に興味を持つかもしれない若者たちに「農(もしくは農的な何か)」に興味を持ってもらうべく。

農園を宣伝するとして、何をアピールするか。うちの一番の強みは、環境配慮型の農法、品目数の多さと、できるだけお客さんに直接販売する直販ということになるかなと。それは裏返せば手間暇かかる、複雑で一般的ではないことをやっている、ということにもなる。

農業に限らず、手広くいろいろやらずに、選択と集中が経営的には効率が良い、といわれる。狭い領域で技術を洗練させて、投資を集中したほうが良い場合は確かに多い。私たちの農園はその対極のやり方を選択してきた、あえてそうしたというよりは、お客さん(飲食店)の要望に応えようとしてきたらそうなった、ともいえる。一般的には非効率であるとしても、100のうち1つくらいはそういう経営体があってもよいのではないか、やりようはあるのではないかと。

夏に冷涼である、冬に温暖である、近郊である、土地が平らで広い、といった地理的メリットを生かした産地では、生産効率重視で経営が成り立つかもしれない。また、資本のあるところは環境制御型施設栽培などを推し進め、より安く安定的な生産が可能になってくるかもしれない。物価高、人手不足という状況の中で、上記のような条件に当てはまらない私たちの農園のような場所でどうやって経営を継続していくのか。高校生くらいの若者が魅力を感じるような農園としてアピールすることができるだろうか・・・

複雑さや普通でなさ、というのは効率性重視の生産体制からすればマイナスでしかないかもしれないが、多様性、不確実性の時代においてはそれは+にもなるはず。「大谷翔平の変態打ち」なんて言われるように、「変態さ」というのも今ではポジティブな意味でつかわれている。「複雑さに振り切った変態的農園」、これでは娘に却下されるだろうが・・・


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