新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
今年4月で開園から21年めです。資金的にはつねにギリギリではあったものの、どうにか続けてこれた、またその中で研究開発的なこと、投資的なことは常に続けてきました。そろそろそれらを回収していく時期にきているように感じます。特に栽培に関しては、有機栽培ならではの課題(草、虫、病気)、気候変動といった課題への対応・対策を試行錯誤してきました。ツールは出そろってきているように思います、あとはどうやって現場、実作業へ取り入れていくのか、という面が大きいように感じます。一方で、機械・設備などは経年劣化してきています。それらのメンテナンス、更新という課題が出てきています。技術的なものなどソフトウェア、機械設備などハードウェア、ともに、新たに何かする、投資する、というのではなく、既存のものをうまく使って諸課題へ対応していく、ということを今年はやっていく予定です。お金(経済資本)はないとはいえ、20年間で築いたお客さんや取引先という社会(関係)資本、技術的な資本、土づくりとして畑の土を豊かにしてきた資本など、これらを生かしていくことでお客さん、スタッフ、地域へ還元することができればと考えます。
<野菜の成育状況>
平年並みか平年より寒い冬、と言われている割には今のところ厳しい冷え込みにはなっていません。おかげで葉物野菜はおおむね予定通りの成育をしています。昨年暮れの露地野菜の取り込み分も当面しっかりありそうです。今月はこの時期としては品目・量ともに多くあるので、しっかり出荷してく予定です。
ベビーリーフ | 低温期のわりにはよく育っています。 |
---|---|
春菊 | 中葉春菊、サラダ春菊を収穫しています。量は多くないですが採れています。 |
小松菜 ミニチンゲン菜 |
成育が遅くなっています。やや不足する場合があります。 |
水菜、赤茎水菜 赤からし水菜 |
この時期にしてはよく育っています。赤茎水菜はやや少なめです。 |
ほうれん草 | 縮みほうれん草は中旬までで終了予定です。ほうれん草、赤軸ほうれん草は当面収穫していく予定です。 |
ルッコラ ワサビ菜 |
ルッコラは採れています。わさび菜は不足気味のまま推移しそうです。 |
ラディッシュ | 赤はよく採れています。白は不足する場合があります。 |
リーフレタス | 成育が遅くなっているので、収穫量は少な目で推移しそうです。 |
キャベツ | みさきキャベツがあります、中旬以降はハウスものの状況次第です。 |
ブロッコリー | 露地の生き残りとハウスもののわき目を収穫しています。 |
長ネギ | なべちゃんネギ、長ネギ、下仁田ねぎ、松本一本ねぎを収穫しています。下仁田はやや少なめ、松本一本はやや細めです。 |
ミニ白菜 | 採れています。外側に傷みがあるものが多く、やや小ぶりになっています。 |
プチベール | 採れ始めています。一部アブラムシが出ています。様子を見ながら収穫していきます。 |
オータムポエム | 切らさずに収穫予定です。量は多くないので不足する場合があります。 |
かぶ | 白かぶ、あやめかぶ、紅かぶ、黄かぶがあります。全般に少な目です。 |
大根 | 紅大根は作付けのミスで早々に終了してしまいました。他のもの、白、紅芯、紫、青長、黒丸はまだ大丈夫です。 |
さつまいも | シルクスイート、パープルスイートがあります。味は良くなってきました。 |
かぼちゃ | 坊ちゃん、ロロン、バターナッツが残っています。在庫が終わり次第終了です。 |
人参 | 人参、黄、紫、白、金時があります。 |
ビーツ | 赤、黄、縞があります。量は多くなく、在庫がなくなり次第終了します。 |
玉ねぎ | 今期分は終了です。来期分植付終わりましたが苗が小さかったので、冬を乗り越えられるか心配です。 |
ニンニク | 昨季分は終了しました。6月から収穫予定です。 |
ジャガイモ | 男爵、北海コガネ、十勝コガネがあります。シャドウクイーンは残り僅かです。きたあかり、ノーザンルビーは終了です。 |
ハーブ類 | パセリ、イタリアンパセリは終了です。ハーブはタイム、ローズマリーが少しあります。 |
トマトピューレ | 280g入りで販売しています |
年末に読んだ本『庭の話』宇野常寛著のなかで、昨今インターネットのプラットフォーム(facebook、XなどのSNSサービス)の登場によって、誰でも推しのひとに「いいね」し自らも人から「いいね」される、容易に政治に参加することができるようになった、自らが関与し政治を動かすことができる、世界を素手で感じることができるようになった、それは一見情報化社会が民主主義を後押ししているようで、実のところ敵と味方にわかれた安易な評価ゲームに人を没入させ、多くの人を思考停止させ、より注目を集め多くの「いいね」を得るために敵に対する誹謗中傷をエスカレートさせ、結果として自分の所属するコミュニティとそれ以外の人たちとの分断を深めていく結果を生んでいると。昨今はインターネット上で容易にコミュニティが形成され、自らが参加するコミュニティに属する人とそうでない人との間での溝ができる、そのコミュニティのありようはかつてのリアルな共同体におけるいじめや村八分と同様で、人を死に追いやることすらある。そういう状況に対して、著者は人と人とが直につながる共同体・コミュニティではなく、人はより人ではないモノ(自然、事物)に向き合うべきで、人と人とはモノ(自然、事物)を介しての緩やかなつながり(コレクティフ)でよい、むしろもっと孤立していたほうが良い、といったことが書かれていた。本のタイトルの「庭」というのはそのモノ(自然、事物)とのかかわりを象徴させた表現。政治的に右の人も左の人も、「情報化社会において人はより孤立してきている、かつてのようなリアルなコミュニティ・共同体の復権が必要だ」といっているが、それは結局は強者の論理であり、そのような共同体に加われない人たちにおいては、リアルな共同体の復権はより負の作用をもたらすと。
著者の言っていることが逐一その通りだとは思わないが、人はよりモノ(自然、事物)とかかわるべきで、人と人とのコミュニケーション、共同体の復権がよいばかりではない、というのはその通りのだと思う。私自身、ネット上の、またリアルなコミュニティの負の側面は非常に苦手だ。自らの属する地域社会において、また会社という共同体において、これからどのようなありようがよいのか、考える参考となった。
↑中古のガスボンベを加工した薪ストーブをネギの作業場に設置。一号機にしては頑張りました。仕事で、趣味でもモノ(自然、事物)と相対することは得意な方?