2024年09月01日

五人坊主だより 2024年9月号

当初8月の28日ころに通過予想であった台風10号は、31日現在いまだに関西の方をゆっくり進んでいるとのこと。こちらの方へ来る頃には温帯低気圧になっているそうですが、ここ1週間くらいは梅雨時のように雨が断続的に降るような毎日です。この先も大雨の可能性もあり、まだ油断できない状況です。ここまで台風進路の予報が外れるのも珍しいです。

他の地域と同様、この辺りも過去最高に暑い8月でした、7月以降畑の作業が遅れているところへ、8月は収穫・出荷が例年以上に忙しくなり、畑作業も出荷作業もいっぱいいっぱいという状況でした。連日朝4時まえから夕方6時すぎまですることがぎっちり、おまけに暑いー 、体調管理に気を付けて何とかやっています。

7月後半からお盆前にかけて、出荷業務がキャパオーバーぎみになってしまい、一部お客様には大変ご迷惑をおかけしました。忙しい、暑いというのは言い訳にならないので、出荷業務のミスをなくすべく現在対策を進めています。お客様に置かれましては、こちらの不備等ございましたら遠慮なくご連絡ください。必要な対応をとらせていただきます。

<野菜の成育状況>

夏野菜はピークを過ぎてきました、ナス、ピーマンはまだまだいけそうです。トマトはめっきり少なくなり、キュウリは成育が今一つで収穫量が減ってしまいました。回復、延命できるものは手をかけて、回復の見込めないものは次のものへと切り替えていきます。9月は夏野菜が少なくなる一方で秋冬野菜はまだ採れてこない、ということで、例年出荷できる野菜が少なくなってしまいます。今年は秋冬野菜をやや前倒しで植えているものもあり、今月の後半からは徐々に品数が増えてくる予定です。

秋冬野菜の種まき、植付も8月後半から9月中旬くらいまでがピークです。8月の猛暑・少雨でやや遅れ気味であった作業をペースを上げて進めています、ここへきて雨続きでまた遅れ気味ではありますが、何とかしていきます。

ベビーリーフ 収穫量は落ちています。気温が少し下がって回復傾向です。
小松菜
ミニチンゲン菜
暑さで成育が今一つです。気温が少し下がって天候が回復してくればまた採れてくる予定です。
水菜、赤茎水菜
赤からし水菜
収穫量が落ちています。今月中旬以降は持ち直してくる予定です。
ほうれん草 普通のほうれん草、赤軸ほうれん草ともに収穫量は多いくないですが採れています
ルッコラ
ワサビ菜
ルッコラは比較的採れています。わさび菜は少な目。
レッドアマランサス 濃い赤色が特徴の菜です、良く育っています。
ラディッシュ 不足気味です。白は全然良品が採れていません。中旬以降は回復予定です。
リーフレタス 収穫量が少なくなっています。この先もしばらく少な目。
インゲン いったん途切れましたが徐々に採れてきました。中旬以降は量が増えてくる予定。
キュウリ 成育が今一つで採れていません。回復するように手入れをしていきます。
ズッキーニ 良品は少ないです。肥培管理で延命していく予定です。
トマト、ミニトマト いずれも収穫量が落ちています。今後も少な目で推移しそうです。
ナス 比較的採れています。肥料と水の管理に気を付けて10月まで採れるように頑張ります。
ピーマン、バナナピーマン甘長など いまのところ病気もなく順調に育っています。ハウス内の生垣栽培で、丈は2メートルを超えてきました。
オクラ 予定より収量が上がりません、肥培管理で持ち直せるかどうか、頑張ってみます。
枝豆 残りわずかです、カメムシが増えてきているので、良品は少ないかもしれません。
トウモロコシ まだいくらか残っていますが、良品は少ないです。
インゲン 量は少ないですが採れています。徐々に増えてくる予定です。
かぼちゃ 普通のかぼちゃ、ロロン、坊ちゃん、バターナッツがあります。今月いっぱいは出荷できそうです。
人参 ミニ人参はいったん終了しました。他のものはまだあります。
ビーツ 良品は少ないですがまだあります。規格外品でもよいようでしたらその旨お知らせください。
大根 紅大根が残り少し。秋のものが採れてくるのは10月半ばころからの予定です。
玉ねぎ 収量すくなく基本小袋のみでの販売です。赤は残り僅か。
ニンニク 例年より少な目ですがあります。
ジャガイモ 男爵、きたあかり、シャドウクイーン、ノーザンルビー、北海コガネ、十勝コガネがあります。北海コガネ、十勝コガネ、ノーザンルビーは少ないです。
ハーブ類 バジル、パセリ、イタリアンパセリを細々と収穫しています。
トマトピューレ 7月はトマトがたくさん採れたのでピューレに加工しました。280g入りで販売しています

一つかみの砂金

コスパ(コストパフォーマンス)、タイパ(タイムパフォーマンス)、ということで言えば、私たちのやっている有機栽培、多品目野菜、直販というのはコスパもタイパも非常に悪い、土づくり、ということで言えば、1年1年、ちょっとずつ良くなっていけばよい、というくらいのものだし、多品目栽培する、たくさんの売り先へ売っていく、というのは恐ろしく手間がかかるもの。自分ながらよくやるなと。でもなぜあえてそうするのか。

「― 勉強して、それから、けろりと忘れてもいいんだ。覚えるということが大事なのではなくて、大事なのは、カルチベートされるといふことなんだ。 ― 学問なんて覚えると同時に忘れてしまってもいいものなんだ。全部忘れてしまっても、その勉強の訓練の底に一つかみの砂金が残っているものだ。これだ。これが貴いのだ ―」

太宰治の「正義と微笑」の一文が、ネットに出ていた。16歳の青年が劇団員になるまでの、日記形式の話で、好きな作品のひとつだが、上記のセリフは主人公の通う学校の先生が学校を去るときに学生に語ったことで、こんな一文があったことなど全く覚えていなかった。勉強だけでなく「仕事」でも同じようなところがあるなと。野菜とスタッフとお客さんのはざまで、朝から晩まで最低限やらないといけないことに奔走するような日々、主体的に「こうしよう」と思ってやれる隙間はほとんどない。収入を得るために働く、ということだけで言えばコスパ、タイパのいいやり方を追求していけばよいのかもしれない。あえてそうでないことをやり続けているのは、理屈を言えばいろいろ言えるのですが、日々仕事をする、働くことで、自分が耕され、どこかに「貴いもの」が残るからやっている、続けられている、といえそう。


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