2019年01月02日

五人坊主だより 2019年新年号 

新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

昨年は、天候不順等の影響がありながらも、全体としては大過なく過ごすことができました。野菜作りの難しさを改めて思い知らされた一方で、農園としての力量・スタッフの力量が向上してきたことを実感できた年でした。

今年は、昨年より取り組み始めているJGAP認証の取得、経営体質強化を一層進めていきたいと思います。また、農園は今年で15周年となります。30年を一区切りと考えて開園当初からやってきたこともあり、折り返し点に差し掛かってきたといえます。今年から来年にかけては事業の折り返し点ということで、これまでの取組を見直しつつ、新たな挑戦を行っていく契機にしたいと考えています。

中山間地域ではどこもそうだと思いますが、農園のある中川村でも農業の担い手不足、人口減少、地域経済の衰退、という負の流れが加速しつつあります。これらの状況に対して、農園として、一農園経営者として、どういう方向性を示して具体的に取り組んでいくのかが問われています。昨年より、地域おこしに成功している事例を勉強したり、村内の同業・他業種の若手事業者に目を向けたりしてきた中で、この地域にはまだまだ可能性があることを実感してきました。村にある自然、人、遊休施設といった資源をうまく組み合わせて活かしていけば面白いことができるはずです。昨年末より構想を表明し、仲間を募り始めました。今年はさらに事業として前進させて、新たな挑戦を形にしていきたいです。

 

<今出荷している野菜の様子>

昨年中に露地の野菜を一通り採り込み、高性能冷蔵庫へ入れました。人参や大根などの根菜、白菜やキャベツも当面出荷していけると思います。ハウスの葉物野菜も例年にくらべるとよく育っています。これから一段と寒さが厳しくなることが予想されますが、当面はしっかり出荷していけそうです。

ベビーリーフ 順調に育っています。冷え込みが厳しくなるまでは十分出荷できると思います。
小松菜
ミニチンゲン菜
採れています。寒さが厳しくなると芯が凍みて傷んでくることがあるので、状態を確認して出荷していきます。
水菜、赤茎水菜
赤からし水菜
この時期にしては状態の良いものが採れています。当面は出荷していけると思います。
ほうれん草
赤軸ほうれん草
採れています。やや不足することがあるかもしれませんが、例年よりはあります。
サラダ春菊 不足することもありますがまだ採れています。寒さが厳しくなると傷んでくるので心配です。
ルッコラ
ワサビ菜
順調に育っています。当面はしっかり出荷していけると思います。
ラディッシュ 今の所順調です。状態よく潤沢にあります。
長ネギ 長ネギ、松本一本ねぎ、なべ用ネギ、下仁田ネギ、西洋ネギ(リーキ)、赤ネギを作っています。順調に採れています。
レタス類 ハンサムレタス(フリルレタス)、パリレタス、サニーレタスがあります。採れています。
キャベツ みさきの小さいものがあります。在庫がなくなればいったん終了です。
白菜 ミニ白菜、白菜は在庫がたくさんあります。2月いっぱいくらいは出荷する予定です。
ブロッコリー ハウスの物がこれからです。全般に小ぶり予定。
プチベール 冬場の主力品目として、春先まで出荷していきます。
茎ブロッコリー 採れています。収量は少ないながら切らさず出荷していく予定です。
芽キャベツ 小粒が多いですが採れています。春先まで出荷していきます。
じゃが芋 北あかり、十勝黄金、メークインがあります。全般に残り少なくなりました。
カボチャ バターナッツはたくさんあります。ほかの物は在庫が少なくなってきました。
大根 普通のもののほか、紅、紫、黒、青長、紅芯があります。冷蔵庫で貯蔵してあります。
人参 冷蔵庫で貯蔵しています。状態よく春先まで出荷していけると思います。
玉ねぎ のこりわずかとなりました。
ビーツ 秋作が不作で在庫少ないです。
カーボロネロ、ケール 今月中旬以降収穫していく予定です。ケールは葉の縮れたカリーノケールで、サラダなどにいれてもいいタイプです。寒さに強いのでこれからが本番です。
カブ たくさんあります。白かぶ、あやめ雪かぶ、黄カブがあります。
モチ 今年産の小麦でつくったモチです。忙しくてなかなか作れていませんでしたが、今月から販売します。白餅のほか、玄米餅もご注文あれば作ります。
自家製大豆の味噌 無添加。1000円/kg、500円/500gで販売中。
小麦粉 今年産の小麦でつくった小麦粉。南部小麦(中~強力)、シラネ小麦(中力)、ユメセイキ(中力)があります。400円/kg

 

昭和・平成の  “農業”から、遡及的=先進的“農”の時代へ

今から25年ほど前私が大学1年生の時、受講していた社会科学の講義で、どういう文脈であったかは定かではないが、先生が「農業はなくなる」といった主旨のことを言われた。農学部1年生であった私は、農業がなくなるとはどういうことかと質問をした。師曰く「農業はなくなるが、農は残る」

この禅問答のような答えに、その時は???であった。今では自分なりに考えてわかったところもある。農業従事者は就業人口の3%未満となり、GDPにおける農業生産額は下がり続けていることが客観的事象における一つの解を示している。では“農”ってのは何なのか。それは、一言でいえば農業の経済的な側面以外の価値体系のように思う。農業は、自然-食-身体-文化と切り離せない側面がある。産業としての価値=業を農業から除外したものが“農”といっていいんじゃないか。

農業はなくなることはないものの、利潤率の低下により特定の産地や高度な施設園芸に今後ますます集約化されていくことが予想される。条件不利地における中途半端な農業は成り立ちにくくなっていくと思う。私たちのような中山間地においては、“農”の価値を見直し活かしていくような取り組みを行っていくしかない、それは利益追求型の農業から離れることによってのみ経営が成り立つという逆説を進んでいかざるをえないということになるー

 

 

 


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